ビジョンやセンサーによって周囲の状況を読みとり、あらかじめ記憶した地図や走行経路に関する情報を参照しながら自律的に移動し、障害物がある場合はそれを自律的に回避しながら目的の動作を遂行するロボット。
今回は、要素技術の確立という側面から、病院や施設の居室ベッド上への食事トレイの配下膳作業をテーマとして掲げているが、マニピュレータを装備した自律動作可能なロボットという意味では、応用範囲は限りなく広い。
NEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)の委託により、富士通(株)と(株)安川電機の共同プロジェクトとして推進された「高齢者・障害者用食事搬送自動ロボットシステムの研究開発」(1994〜1998年)の成果である。高機能なロボットの研究開発としては、開発の比較的早い段階からデザインが参画した初めてのプロジェクトとして高い評価を受けた。
人間と触れあう距離で自律的に働くロボットとして、自律性を確保しながら、安全性、親和性(ヒューマンフレンドリ化)をいかに実現していくかというのが、大きな研究開発課題となった。
新しい概念のロボット開発であり、デザインに求められた役割は、各要素技術を統合した成果としての完成予想図を、現実に即して提示し、各研究開発スタッフに、到達目標や開発課題を共有してもらうところからスタートした。
具体的なデザイン開発作業も、コンフィギュレーションや寸法体系、形態や色彩の要素に加えて、親和性を実現するための立居振舞いや動作速度の設定、不可視のコンディションを伝達するための音声や画面表示による情報提示の方法など、多岐にわたっている。
インターフェイス・デザイン面では、自律動作時のロボットのコンディションや直後の行動を伝達あるいは予測可能にするために、表情画面(動画)と音声および動作の組み合わせによる、新たなロボットインターフェイスを開発した。
また、待機および一時停止時の情報参照および操作指示用インターフェイスのデザインでは、操作性と親和性を追求し、タッチパネルによる分かりやすい操作体系を開発した。
Designed for FUJITSU & YASKAWA ELECTRIC in 1995-1998.
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